犬を病気から守る一番大切なことは、普段の健康な状態を詳細に観察することです。犬は自分ではどう具合が悪いのか話すことはできません
犬の病気で名前がすぐに浮かび、よく知られているのは、狂犬病、ジステンパー、フィラリアなどではないでしょうか。実はこれらの病気は、毎年決まった時期の投薬やワクチンの接種で予防することができる病気です。よく知られている狂犬病は、人にも感染し、発病すると100%死亡する非常に怖い病気で、この病気にかかった犬は隔離され安楽死を施されます。そして、毎年全世界で5万人以上の人が狂犬病で亡くなっています。日本では1952年以降、狂犬病の発生はありませんでしたが、2006年に2件発生したことは、まだ記憶に新しいところです。この他、ジステンパーや犬パルボウィルス、犬伝染性肝炎なども死亡率の高い病気として知られていますが、これらは感染症と呼ばれている犬の病気で、すべてワクチンを接種することにより、予防することが可能です。また、蚊の媒介により血液中に寄生虫が入り込み、死亡率も高いといわれるフィラリアは、蚊の発生時期までに数ヶ月に渡って薬を投与することで予防できます。
通常、ワクチンの接種については、母犬の初乳から受け継いだ免疫抗体の効果がなくなる生後2ヶ月頃に1回、生後3ヶ月〜4ヶ月ごろに1回受けますが、獣医師によっては生後4ヶ月ごろまでに3回受けることを勧める場合もあります。
最近では、いくつかの感染症に対応できる混合ワクチンが多く用いられ、死亡率の高い感染症の予防を対象とした3種混合、5種混合、7種混合などがあります。ワクチンは感染症を予防する有効な手段ですが、ワクチンの接種に関して注意することは、まれに副作用が出ることもあるということです。ワクチンの接種の際は、犬の健康状態をしっかり把握し、食欲がないとか、少し体力が落ちているなどの場合は、ワクチン接種の時期をずらす事も考えなければなりません。副作用の問題で、最近では毎年の接種を避け、2年や3年ごとの接種を選択する飼い主が増えてきているようです。
また、狂犬病の予防接種は法律で飼い主の義務とされていますが、その他の感染症に対するワクチンの接種は、飼い主の任意とされています。
感染症やフィラリア以外にも、犬の病気はたくさんありますが、感染症やフィラリアに限らず、犬の病気はできるだけ予防できるに越した事はありません。中でも糖尿病など、人間と同じ環境で暮らす中、人間と同じ様な病名に苦しむ犬が急増しています。最近増えている犬の生活習慣病は、飼い主のちょっとした心がけで発症を食い止めることができます。餌のやり過ぎや、おやつの与え過ぎ、あるいは運動不足などによる犬の肥満は、生活習慣病を増加させている大きな要因のひとつですが、飼い主が食べすぎないようにコントロールする、間食を与えない、運動を十分させるなど、犬の管理をきっちり行えば、肥満は解消できて、病気の予防にもなるわけです。
最後に、犬は具合が悪かったり、痛みがあったりしても、飼い主に症状を訴えることはできません。犬を病気から守るのに一番大切なことは、飼い主が普段から責任と愛情を持って、飼い犬の細かな行動やしぐさ、食欲や排せつの回数、排泄物のチェックを行っておくことが重要です。そのほかに歩き方の異常、鼻のかわき、目やにの異常、毛のつやなど、健康な時にチェックしていると、普段と違う行動やしぐさに気がつくことがあり、少しでも普段と違う場合、早期に獣医師と相談することで、重篤な病気になってしまうことを回避できます。早期発見、早期治療は人間に限らず、動物にも非常に効果的なことであるということを飼い主は自覚する必要があるでしょう。